1株で100本収穫するナスの育て方

本当にナスを100本も収穫出来るのか!?

家庭菜園をやっていれば定番のナス栽培ですが、ナスをうまく栽培すれば1株で100本収穫出来るって信じられますか?

必要な肥料・水を与えて、手入れをして育てればナスにとって100本の実を付けることは難しいことではありません。

ナスにとって育ちやすい環境を作ってあげて初めて100本の収穫に近づくのです。


※上記の植付け時期等は関東地方で苗を植える時の基準です。

ナスの特徴

  • 夏の暑さにも強く、雨にも比較的強くて作りやすい野菜です。
  • 土壌水分が多く、耕土の深い、肥沃な畑が適しています。
  • 日照時間が長く、日射量が多いほど収量も期待できます。
  • ナスはとっても水を欲しがります。
    ナスの葉は広く、水分が蒸散しやすい上に、つける実も水分が多いためです。
    但し水が溜まった状態が続くのも良くないです。
  • 苗の植付けから1~2週間は土の表面が乾いていたら毎日でも水やりが必要です。
    (でも、根を伸ばすために2週間後からは2~3日に一度の水やり)
  • ナスは水切れ厳禁! と覚えておきましょう
  • 連作は出来ない 最低3~4年は空ける

ナスの実100本 其の1 落ち葉床

※ 落ち葉床は定植(ていしょく)の1ヶ月前に準備してください

本来なら腐葉土を混ぜ込むのが一番ですが、買ったら高い&作ると1年掛かるので畑に落ち葉を直接投入(土の中で腐葉土を作るイメージです。)します。

用意するもの

  • 落ち葉
  • 米ぬか

公園などで落ち葉を集めます。(ちゃんと許可もらってくださいね)

集める落ち葉の種類

クヌギやナラ、ケヤキやポプラなどの広葉樹の葉です。

× サクラやヒノキ・スギ・マツ・イチョウなどの葉は腐りにくいので避けてください

落ち葉床のイメージ

落ち葉床は根が深く伸びるナスの成長を助けます。

落ち葉床の作り方

  • 畝(ウネ)の下に30cm~50cmの穴を掘る
  • 10cmほど埋まるよう落ち葉を投入
  • 米ぬかを適量振りかける
  • ジョウロで水をふりかける(沁み出ない程度)
  • 土をかける
  • 踏み固める(この時に水は沁み出てくるようなら次の時は水分を少なめにする

これを地上より10cm下まで繰り返します。

ミルフィーユのような状態になればベストです。

あとは地上と平らになる高さまで土を入れます。

こちらが実際の映像です。

落ち葉を投入して

米ぬかを振りかけて

水を掛けて(間には土も入っています。)

この畑の場合は翌日にコンボスト(埼玉県で配布)を運び入れてます。(このコンボストは必須ではありません)

コンボストと畑の土を混ぜて落ち葉床の上で約2ヶ月寝かせます。

ナスの実100本 其の2 畑作り~定植

定植2週間前に石灰散布

定植1週間前に堆肥(完熟牛ふん・米ぬか)混入

畝立て

畝の高さは水はけが良い土地であれば10cm、水はけが悪い土地であれば20cm必要になります。

ナスは葉も根も広がるので畝幅は最低でも70cm必要となります。

耕したら黒マルチを張りましょう(地温を上げるため)

マルチの張り方はこちらの動画を参考にしてください

定植

今回3種類のナスを試した結果
実がたくさん獲れたのは長ナスでした。

株間50cmでマルチに穴を空けます。

マルチに穴を空けたら苗のポッドの深さより10cm深く穴を掘ります。

定植方法

  • 穴の一番下に元肥(牛ふん等)を入れて穴の中の土と混ぜる
  • 掘り出した土をポッドが入る位置まで入れる
  • 地上と平らになるところまで培養土を入れる
  • 培養土を入れたらたっぷり水を注ぐ(水を注ぐことで培養土等が沈み込み穴が出来ます。)
  • 空いた穴をスコップで苗(ポッドの土も含む)が入る大きさに広げます。
  • 苗の植付け
  • 凹んでたりした場合は掘り出した土で平らにする

苗を植えたらぐらつかないように支柱にひもで結わえましょう

苗が定着するまでは行灯(あんどん)もやった方がその後の生育が違ってきます。

整枝

植付けから1ヶ月するとかなり成長してきます。

このくらいの大きさになったら剪定を行ないます。

※あまり成長をしてない段階での剪定は苗木の負担になるので2番花~3番花が付いた頃が良いです。(ただし接ぎ木の場合は台木<接ぎ木の元>から出てくる芽は早めに除去)

1番花(最初に咲いた花)よりすぐ下のわき芽以外のわき芽は全て除去します。

※ナスは基本的に3本仕立てで育てます。(主枝と側枝2本)側枝に使う枝は一番花の上下に発生する強い枝を使用するので1番花のすぐ下のわき芽は残します。

主枝が分かれている場合は主枝と側枝1本の2本仕立て

支柱立て

わき芽を取る時期になったら支柱を立てます。

真ん中に1本、側枝用に2本を斜めに交差させて支柱を立て、主枝・側枝それぞれを支柱に誘引・固定します。

1番果(一番最初に付く実)の扱い

よく1番果は摘果した方が良いなどと聞きますが、その時の状況で樹勢がある時であれば摘果しなくても大丈夫です。

但し樹勢が弱いときは摘果した方が良いです。

追肥

2番果の収穫時期に追肥を始め、その後2週間に1度は化成肥料8:8:8を1株に約50g(一握り)使用します。(月に2回、他に肥料を必要とする野菜と一緒に追肥をするとスケジュール管理が楽になります。)

追肥の2回目まではマルチを剥がして土の表面に撒いて軽く混ぜてマルチを被せます。

3回目以降は通路のばら撒く感じでも十分効果があります。

また株と株の間のマルチに穴をあけて肥料を入れるのも有効です。

肥料不足の見分け方

花を見ることで肥料不足か判断することが出来ます。

雌しべの真ん中にある雄しべより雌しべが長くて花の色が濃いのは肥料が足りています。

雌しべが雄しべの長さと変わらない~雄しべに隠れていて花の色が薄い場合は肥料不足です。

2週間に1回の追肥でも最盛期には花も実も増えてくるので肥料不足になります。 このような場合にはすぐに追肥をしましょう

PS・同じ株から咲いている花で新しい花が他よりも小さい場合も肥料不足だと思ってください

水やり

ナスの肥料食いという言葉はよく耳にしますが、実は水もいっぱい必要です。梅雨時はナスはつやつやで張りがありますが梅雨が明けたらくすんだ色で萎れてしまうのは肥料不足よりも水不足が影響していることがほとんどです。

水やりをたくさんする事でキレイな実がつきます。

追肥をあげているのに葉がボロボロになったらマグネシウムとカルシウム不足が原因ですので苦土石灰をあげましょう

収穫・剪定

ナス栽培で一番悩ましいのがこの剪定です。

ナスの3本仕立てにしているつもりがドンドンわき芽が出て気づいたら10本仕立てになってる株をよく見かけます。

この状態になると大量に実をつけて成り疲れになって秋ナスどころか夏の終わりにはボロボロで収穫さえままならなくなります。

基本の3本仕立てから増やさない方法は1本の枝で1つの実を収穫したら枝を切ってしまいましょう

実が付いている枝の先に花がついていると「もったいない」と思いそのまま実を成らせるから枝がドンドン増えて最後には成り疲れになってしまいます。

主枝から出るわき芽の一番果(花の段階ではなく実になってる状態)が付いたら①のところで切ります。

実が成熟してきたら②の部分で切って収穫をする。

これを繰り返すことで常に枝は更新されていくので夏場に行うナスの更新剪定(切り戻し)はしないで済みます。